顎変形症とは、上あごや下あごの形や大きさに異常があり、顔立ちや咬み合わせの異常などの症状を示すものです。このような症状は顎変形症の可能性があります。

  • 下あごがでている。または下あごがない
  • 口元がでていて口が閉じづらい
  • 顔やあごが曲がっている
  • 奥歯を咬み合わせても前歯が咬み合わない

多くの場合は上下の歯がきちんと咬み合わず、咀嚼(そしゃく)や発音にも障害をきたします。また、審美的にもさまざまな問題がある場合が多く、コンプレックスを抱きがちです。
原因は遺伝的な要素が強いと言われていますが、成長期の咬み合わせの異常、指しゃぶりなどの癖、扁桃肥大などの耳鼻科的な疾患などが要因になることもあります。

代表的な顎変形症・顔のゆがみ

代表的な顎変形症の症状としては、以下のようなものがあります。
ただし、もともと人間の顔面骨の形や大きさのバリエーションは大きいため、どこからが顎変形症かという線引きは難しい面もあります。

  • 下顎前突症

    下あごが前に出ている

  • 小下顎症

    下あごが小さい

  • 上顎前突症

    上あごが前に出ている

  • 開咬症

    奥歯を咬み合わせても上下の前歯が咬み合わない

  • 顔面非対称

    上あごや下あごが左右に歪んでいる

外科矯正治療とは?

歯並びや、上あご・下あごの骨格の問題が大きいため、標準的の矯正治療だけでは理想的な咬み合わせにできない場合があります。このようなときは、あごの骨を移動させる手術を併用した、外科矯正治療を行います。
初めに外側のワイヤー矯正治療を行い、提携病院での入院によるあごの骨を移動させる顎矯正手術を経て、再度ワイヤー矯正治療を行って仕上げます。

外科矯正治療の流れ

  1. 1

    術前矯正

    半年〜2年ほど

  2. 2

    入院手術

    1〜2週間

  3. 3

    術後矯正

    半年〜1年半ほど

  4. 4

    保定治療

    2年

全体の治療期間 【2年〜3年ほど】

一般的な矯正治療で治療するか、上あごや下あごを移動させる手術を併用した外科矯正治療を行うかは、
精密検査後に患者様のご希望も考慮して、最終的に診断いたします。

手術をしない中学生以上の
顎変形症治療

矯正治療と顎矯正手術の合計金額(保険適用の場合)

矯正治療の費用は、保険診療3割負担で、自己負担が約20〜30万円くらいになります。
入院手術費用は保険診療3割負担で、下あごのみの手術で約30万円、上あごおよび下あごの手術で約40〜50万円が目安です。ただし、「高額療養費制度」があるので、一般的な所得水準(年収が約770万円以下)であれば実際の負担は10万円以下で済みます。
矯正治療と顎矯正手術、合わせた自己負担額は、約30〜45万円が目安です。

  • 上記は年収が約770万円以下の場合の試算で、770万円以上では自己負担額が10〜20万円程度増える可能性があります。
  • 高校生卒業までは、保険診療での医療費は、原則無償化されています(一部自治体では、保護者の所得額が一定を超えると無償化の対象からはずれ、医療費の3割負担が必要です)。

保険適用の費用をさらに詳しく

保険適用の費用をさらに詳しく

  • 1

    保険診療で多彩な症状に対応

    反対咬合・受け口だけでなく、顔面非対称、あごのゆがみ、上顎前突、小下顎症、開咬症など、さまざまな症状に対応いたします。
    また、以前通常の矯正治療で治療したが後戻りをしたケースや、美容整形をおこなったが顔立ちに不満が残るケースなどにも、対応可能です。

  • 2

    手術を早く行う
    サージェリーアーリー

    サージェリーアーリーとは、保険診療でできるだけ手術を早く行う方法です。
    術前矯正治療開始してから、6ヶ月〜10ヶ月くらいで顎矯正手術を行う方法で、症状によっては可能な場合があります。
    例えば高校や大学卒業前に手術を受けたい、妊娠される前に手術を終了しておきたいなど、患者様のライフステージにあわせた手術時期の選択がしやすくなります。

  • 3

    最初に手術をするサージェリーファースト

    通常は10ヶ月〜2年前後かかる手術前の矯正治療を省いて、あごの手術を最初に行い、そのあと矯正治療を行います。
    気になるあごの形を最初に改善できます。また、全体の治療期間が短縮する効果もあり、とくに非抜歯・外側ワイヤー矯正では、1年程度で矯正治療が終了します。サージェリーファーストは、マウスピース型矯正装置(インビザライン)や、裏側からの舌側矯正(リンガルブラケット矯正法)での治療も可能です。

    ※サージェリーファーストは保険適用外の自由診療になります。

  • 4

    目立たない
    セラミックブラケットでの矯正治療

    上下の前歯の部分は、保険診療でも標準でセラミックブラケットを使用しています。
    さらに目立たない装置を希望される方は、保険適用外の自由診療になりますが、マウスピース型矯正装置(インビザライン)や、裏側からの舌側矯正(リンガルブラケット矯正法)での治療も可能です。

  • 5

    手術方法

    顎矯正手術での侵襲をできるだけ減らしたい場合は、下あごのみの手術を選択できます。また症状によっては、上あご・下あご両方の手術(ツージョーサージェリー)を行ったり、オトガイ形成術を併用することも可能です

  • 6

    中学生からの術前矯正治療

    高校生で顎矯正手術を予定している人は、中学生から術前矯正治療を開始できる場合があります。
    あごを移動する顎矯正手術は、手術時点で成長がほぼ止まっていることが必要です。女性で15歳、男性で17歳以降が目安です。

顎変形症の診断にて、あごの骨を移動させる手術を併用した、外科矯正治療をおこなう場合、当院での矯正治療と、提携病院での入院手術や検査などの費用に、健康保険が適用されます。
2023年度から東京都の高校生等医療費助成制度が始まり、高校生卒業(18歳になってから最初の3月31日)までは、保険診療での医療費は、原則無償化されています。そのため入院中の食事療養費などを除いて、無償で顎変形症治療を受けることが可能です。

※一部自治体では、保護者の所得額が一定を超えると無償化の対象からはずれ、医療費の3割負担が必要です。また自治体によっては通院1回あたり200円の自己負担があります。

中高生の場合はまずは顎変形症の適用になるかどうか、ご相談いただいてからの治療開始になります。手術時期は、女性で15歳、男性で17歳以降が目安で、手術前の矯正治療はその1年〜3年前くらいから開始します。

顎変形症・外科矯正

手術を行う時期

一般的な保険での外科矯正治療では、手術前の矯正治療(術前矯正)が6ヶ月〜2年前後かかります。
特に歯のデコボコが多かったり、前歯の前方への傾斜が強い場合は、抜歯をして矯正治療を行うので、抜歯した空隙を閉じるのに1年以上かかります。

下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

手術までの期間 費用
サージェリーレイト(従来の方法) 10ヶ月〜2年 保険診療
サージェリーアーリー 6ヶ月〜10ヶ月 保険診療
サージェリーファースト 0ヶ月 保険適用外の自由診療(矯正と外科手術)

手術時期を早めたい場合は、矯正治療や顎矯正手術を工夫して、手術までの時期を早められる場合もあります。初診相談のプレ診断で、おおまかな手術可能な時期をご説明いたします。

入院はどれくらい?

病院や術後の回復状況によって異なりますが、7日〜14日くらいが目安です。
入院時期は手術前日または2日前が多いようです。

手術の方法

典型的な手術法は下顎枝矢状分割術(Sagittal Split Ramus Osteotomy : SSRO)といい、全身麻酔下で、下顎の骨を前後方向(矢状面)に切断し、骨を後方・前方・左右方向などに移動します。上下の歯がきちんと咬むように位置づけしたあと、チタン製のプレートやスクリューなどで骨を固定します。手術はお口の中からすべて行うので、皮膚に傷跡が残るようなことはありません。
症状によっては、上顎ルフォーI型骨切り術(LeFort Type I Osteotomy)を追加して行う場合があります。下あごの手術と同じように、皮膚を傷つけることなく上顎骨を切断し、上顎骨全体を上方・前方・後方などに移動したあと、チタン製のプレートやスクリューなどで骨を固定します。

  • 手術時間は2時間〜5時間程度が目安です。
  • 手術中に輸血が必要な場合は、輸血による感染症などの副作用を軽減するため、手術前に患者様自身の血液を採血し、必要な際に輸血する方法をとります(自己血輸血)。

入院中

入院中は上下の歯並びを細い針金やゴムで結び、お口が開かないようにし、あごを安静に保ちます。入院中の食事は、鼻からまたはお口からの流動食となります。
術後は、のどの痛みが数日続いたり、顔の腫れが続いたりします。また唇、頬、あごの感覚が一時的に鈍くなったり、しびれ感が出る場合があります。

退院後

退院後も、あごの位置を固定するためのゴムかけを1〜3ヶ月程度行う必要があります。ゴムはご自身で着脱し、食事の時はゴムをはずして、食後にまたゴムをつけるようにします。
また、術後6ヶ月〜1年後以降に、プレートを除去する手術を行います。病院やプレートの種類(吸収性プレート)によっては、行わないこともあります。

現在、中学生・高校生の保険診療での医療費は、原則無償化(一部自治体で保護者の所得制限あり)されていますが、
ここでは高校卒業後の4月以降の、一般的な3割負担での医療費をご説明します。

矯正治療【保険適用】の費用(当院へのお支払い)

20~30万円

最初に総額を提示できる自由診療とは違って、通院ごとの処置内容によって毎回の治療費が異なり、総額も異なりますので、上記は一般的な概算になります。当院での自己負担額は毎回1千円〜1万円程度が多いですが、新たに装置を装着するときや、装置の除去のときなどは1回約2〜3万円になる場合があります。

矯正治療費毎回のお支払い例

治療期間約28ヶ月、保定期間24ヶ月の場合 23万円(お支払いの一例)

下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

処置内容 毎月の患者様負担額
※金額は一例です
回数 負担額合計
※金額は一例です
1ヶ月目 精密検査料 ¥4,000 1 ¥4,000
2ヶ月目 診断料 ¥8,000 1 ¥8,000
3ヶ月目 装置装着 ¥23,000 1 ¥23,000
4〜13ヶ月 調整 3,000〜15,000円 ¥7,000 10 ¥70,000
14ヶ月目 顎矯正手術準備 ¥12,000 1 ¥12,000
15〜26ヶ月目 調整 3,000〜9,000円 ¥7,000 12 ¥84,000
27ヵ月目 装置除去 と保定装置装着 ¥28,000 1 ¥28,000
28〜52ヶ月目 保定装置調整 ¥900 10 ¥9,000
合計金額 ※金額は一例です ¥229,000

金額はおおよその目安で、症状や使う装置の種類によって異なります。診療はおおむね月1回ですが、治療内容や手術まで期間が短い場合など、月2回くらい通院していただく場合があります。その場合はその月の負担額も多くなります。

顎矯正手術【保険適用】の費用

30~50万円(実質自己負担は10万円以下が多い)

連携病院でのお支払いになり、下あごのみの手術で約30万円、上あごおよび下あごの手術で約40〜50万円が目安です。ただし、高額療養費制度があるので、一般的な所得水準であれば、自己負担は10万円以下で済みます。
また、チタン製のプレートやスクリューをとる手術(抜釘手術)を行う場合も入院が必要ですが、自己負担はおおむね10万円程度が目安です。

  • 医療費が1か月(1日から末日まで)で上限額を超えた場合、自己負担上限額は年収が約770万円以下の場合は、6万円〜10万円程度になります。
高額療養費制度について
高額療養費制度とは?

医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払った健康保険での自己負担医療費が、1か月(月の1日から末日まで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を国が支給する制度です。上限額は、年齢や所得に応じて定められています。

  • 入院時の食事代(1日約1,400円)、パジャマ、テレビ、冷蔵庫のレンタル代、個室などの差額ベッド代は医療費に含まれません。

高額療養費制度をさらに詳しく

入院月の自己負担額の目安

下表は画面に収まらない場合、左右にスライドしてご覧いただけます。

年収の目安 自己負担上限額
当月の医療費が50万円のときの試算
1,160万円~
健保:標報83万円以上
国保:旧ただし書き所得901万円超
260,847
770~約1,160万円~
健保:標報53万~79万円
国保:旧ただし書き所得600~901万円
178,487
370~約770万円~
健保:標報28~50万円
国保:旧ただし書き所得210万~600万円
94,097
~約370万円
健保:標報26万円以上
国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600
住民税非課税者 35,400

外科矯正治療の保険適用の条件

以下の条件にあてはまれば、歯科医院での矯正治療と病院での入院手術、術前の検査に保険適用が可能になります。

❶ 「指定医療機関」で矯正治療を行う

当院は「指定自立支援医療機関」であり、顎変形症に保険適用が可能な「顎口腔機能診断施設」として認可されています。歯科医院または矯正歯科ならどこでも、保険で矯正治療を受けられるわけではありません。

❷ 入院手術だけでなく手術前後の矯正治療も保険適用です

矯正治療が保険適用されるのは、顎変形症(上顎前突症、下顎前突症、顎骨非対称症、開咬症、下顎偏位、顔面非対称、開咬症など)の症状がある場合に限ります。また病院と治療計画を共有し、連携して病院と一緒に顎変形症の治療を行う必要があります。

❸ 矯正治療は外側ワイヤー矯正(マルチブラケット)なら保険適用されます

マウスピース型矯正装置(インビザライン)や裏側からの舌側矯正(リンガルブラケット矯正法)で治療する場合は自費診療になり、病院での手術も自費診療になります。

❹ 「指定医療機関」の入院手術も保険適用です

顎矯正手術を行う提携病院をご紹介いたします。

一般には顎矯正手術になじみは少ないかもしれませんが、日本国内の顎矯正手術の件数は年間4,000件前後で、日常的に行われている手術です。当院が手術を依頼している病院でも、毎週のように顎矯正手術を行っており、その点ではご安心いただけると思います。
ここでは、一般的なメリットとデメリット(リスク)をご説明します。手術に関しては、病院受診時に詳しくご説明します。

外科矯正のメリット

  • メリット1 顔立ちの変化が可能

    あごのずれによる審美障害の改善ができ、顔貌(顔立ち)が改善できます。
    例えば、下あごや上あごが出た印象、下あごが小さすぎる印象、下あごの非対称、ガミースマイル(笑うと上あごの歯茎が見える)、などが改善します。

  • メリット2 歯に負担の少ない咬み合わせ

    手術を行うことで、上あごと下あごの位置を改善できるので、多くの場合、骨に対して歯を垂直に位置付けることが可能になります。その結果、歯や歯周組織に負担をかけない咬み合わせをつくることができます。
    手術なしで矯正治療だけで直すと、歯を強く傾斜させる必要が生じ、歯の寿命を短くすることがあります。

  • メリット3 矯正だけでは治らない歯並びに対応

    歯並びによっては、審美障害は軽度ですが、矯正治療だけでは治療できないケースもあります。
    手術併用することで、短期間で確実に治療することが可能になります。

    • 例:開咬症(奥歯を咬み合わせても上下の前歯が咬み合わない)

症状によっては...こんなメリットも!

  1. 治療期間が短縮する
  2. 永久歯を抜かなくてすむ
  3. 着脱式のゴム(顎間ゴム)の使用時間が短くて済む

外科矯正のデメリット

  • デメリット1 一時的なしびれ、麻痺

    細かい神経が手術でやむを得ない侵襲を受け、しびれ、麻痺、などが残る可能性があります。
    数ヶ月で治癒する場合が多いですが、まれに数年残る方もいます。
    ただし、日常生活に困るような症状ではないということです。

  • デメリット2 顔貌の変化

    当院では、横顔のレントゲンや顔写真をもとに、どうやったら美しくバランスの良いと感じる顔に近づけられるかをシミュレーションしています。
    また、患者様が思い描いていた顔立ちと、実際の外科矯正治療後の差が最小限になるように、当院ではドルフィン(Dolphin)矯正ソフトウェアによって、手術後の横顔のシミュレーションを作成し、手術後の顔立ちをイメージができるように努めています。

  • デメリット3 手術のリスク

    顎矯正手術は病気の方が受ける手術に比べて安全性が高い手術です。2008年の日本麻酔科学会の調査では、健康な人に麻酔をかけたことに起因する死亡率は10万人に0.5人です。
    一方、アメリカ国家運輸安全委員会の調査によると米国内で航空機に乗って死亡事故に遭遇する確率は10万人に0.9人(0.0009%)で、米国内の自動車乗車中の死亡事故率0.03%の33分の1以下です。航空機は死亡事故という観点では非常に安全な乗り物です。
    健康な人が麻酔を受けた場合の事故率は飛行機の事故率よりは低く、過度に怖がる必要はないと思います。

  1. 初診相談(約90分)

    患者様の写真(口腔内スキャン)やレントゲンを撮らせていただいて、治療方法をご説明します。
    外科矯正治療が考えられる場合は、手術を併用した治療でのシミュレーションもご覧いただいて、治療後をイメージしていただきます。患者様が入院可能な時期もお聞きして、おおまかな手術時期や、それを実現するための矯正治療の方法をご相談いたします。

    1
  2. 精密検査(保険適用で4,000〜5,000円ほど:約30分)

    レントゲン、歯の型、写真などを撮り、より精密な検査をします。
    また、この時点で外科矯正を行うかどうかが確定していない場合は、通常の自費での精密検査料のお支払いしていただいて、診断時に確定することも可能です。
    ご希望により、初診相談当日に精密検査することも可能です。

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  3. 診断(保険適用で8,000円ほど:約30〜60分)

    いくつかの治療方針をご説明します。また連携予定の病院についてもご案内いたします。
    通常の自費での精密検査をしていた場合で、外科矯正を行うことに決まったときは、保険診療に切り替えます。これまで支払った精密検査料は、この時点で保険治療の金額に清算し、差額を返金いたします。

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  4. 病院に受診

    当院で紹介状を作成し、病院を受診してもらいます。手術をする医師から詳しい説明があります。手術に必要な検査や、親知らずなどの抜歯処置を引き続き行う場合もあります。

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  5. 当院での追加の検査や歯みがき指導(1〜2回ほど)

    必要な検査や歯みがき指導を追加する場合があります。

    5
  6. 術前矯正の開始(月1〜2回、1回30〜60分、6ヶ月〜2年ほど)

    外側ワイヤー矯正(マルチブラケット)を用いて歯のデコボコをなくし、きれいなアーチ状に整えていきます。一時的に咬み合わせが悪くなったり咬みにくくなる場合もありますが、手術後にきちんと咬み合うための処置ですので、ご心配はありません。

    6
  7. 手術日決定と術前検査

    手術をするのに十分な歯並び、噛み合わせになったら、手術日を決めるために病院へ受診していただきます。
    手術日がきまったら、病院にて全身麻酔のために必要な術前検査(血液検査、胸部レントゲン撮影、心電図など)を行います。必要があれば、手術中の輸血にそなえ自己血を採血して保存します。

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  8. 入院手術

    前日または前々日より入院し、全身麻酔で手術を行います。入院期間は、術式や患者様の回復状態、施設によって異なりますが、通常1~2週間くらいです。

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  9. 術後矯正の開始(月1〜2回、1回30〜60分、6ヶ月〜1年6ヶ月ほど)

    手術直後は、移動したあごの骨が筋肉に引っ張られ後戻りするのを防ぐように、顎間ゴムという着脱式のゴムをかけていただきます。骨は3ヶ月程度で固まります。その後は、上下の歯並びが緊密に咬み合うように、咬み合わせの微調整を行います。

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  10. 歯の装置(ブラケット)の除去(約60分)

    しっかり咬み合ってきたら、歯の装置(ブラケット)を除去します。装置の付いていない状態になったら歯型をとり、2時間ほどお待ちいただいて、保定装置(リテーナー)を製作しお渡しします。当院では、取り外しが可能なクリアリテーナーをご提供しています。薄く透明な装置なので装着感が良く、後戻りしにくいのが特徴です。

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  11. 保定(2〜3ヶ月に1回・約15分・ 約2年)

    きれいに並んだ歯ならびが後戻りしないように、歯のまわりの骨が固まるまで保定装置(リテーナー)を使い、経過を見ていきます。

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  12. その他

    おおよそ手術後1年以降で、手術で顎の骨を固定したチタン製のプレートやスクリューをとる手術(抜釘手術)を行う場合があります。
    最初の手術と異なり、入院も短く患者様の負担は軽微なものになります。必ずしも全員の方が行うものではありませんので、病院の担当医とご相談ください。
    手術費用は、3割負担で通常10万円前後になります。

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骨格的な問題があっても、
外科矯正治療通常の矯正治療との
どちらでも治療が可能な場合があります。

骨格的な問題があっても、外科矯正治療と通常の矯正治療とどちらでも治療が可能な場合があります。当院では、それぞれのメリット・デメリットをご説明し、患者様にとって最良の治療をご相談いたします。
下顎前突症で顎矯正手術を希望しない場合は、デンタルコンペンセーションを利用して、治療します。あごの形はあまり改善できませんが、上下の唇の印象は改善することが可能です。ただし、あごの形態異常が強く、デンタルコンペンセーションでは治療できないケースもあります。

※通常の矯正治療は保険適用外の自由診療になります。

デンタルコンペンセーションとは?

上下のあごの大きさの不調和を歯の傾きで補うことをいいます。たとえば、下顎前突症の場合は、上顎前歯は前方に傾斜させ、下顎前歯は後方に傾斜させて、前歯が正常になるように補正します。

初診相談にてデンタルコンペンセーションでの横顔の変化や、メリット・デメリットをご相談できます。
顎変形症や顔のゆがみでお悩みの方は、お気軽にご相談ください。